2017年12月14日

『万葉集』を訓(よ)む(その1225)

 今回は904番歌の27句から36句までを訓む。ここで使われている万葉仮名について、まず見ておこう。

 片仮名・平仮名の字源となった常用音仮名では、オ音の「於」・テ音の「天」・ナ音の「奈」・ヌ音の「奴」・ノ(乙類)の「乃」・ヒ(甲類)音の「比」・モ音の「毛」・レ音の「礼」・が使われている。片仮名の字源となった常用音仮名では、イ音の「伊」・タ音の「多」が、平仮名の字源となった常用音仮名では、ア音の「安」・ハ音の「波」・ム音の「武」が使われている。その他の常用音仮名としては、カ音の「可」・ケ(甲類)音の「家」・シ音の「志」・ト(乙類)音の「登」と「等」・ニ音の「尓」・ノ(乙類)の「能」・バ音の「婆」・フ音の「布」・モ音の「母」・リ音の「理」が使われ、音仮名では、ク音の「口」・デ音の「弖」・フ音の「敷」・ム音の「無」が使われている。

 27句・28句「何時可毛・比等々奈理伊弖天」は「何時(いつ)しかも・ひととなりいでて」と訓む。27句「何時可毛」は、388番歌17句「何時鴨」と「かも」の表記が異なるだけで同句。「何時」は、不定称の代名詞「いつ」に副助詞「し」を補読して「何時(いつ)し」と訓む。「可」は係助詞「か」。「毛」は詠嘆の係助詞「も」。「し」の補読は、この句の仮名書き例「伊都斯可母(イツシカモ)」(886番歌9句)による。「比等」は「ひと(人)」。「々」は、「踊字」または「畳字」と呼ばれる繰り返し符号で、ここは上の「等」の繰り返しで、格助詞「と」を表す。「奈理」は、ラ行四段活用の自動詞「なる」の連用形「なり」。「なる」は「ある状態から他の状態に移り変わる。また、ある状態に達する。」ことをいう。「伊弖」は、ダ行下二段活用の自動詞「いづ」の連用形「いで」。「いづ」は、「動詞の連用形に付いて、その動詞の示す作用や状態によって、現われる。」ことをいう。「弖」はテ音の常用音仮名であるが、ここはデ音の音仮名として用いている。「天」は接続助詞「て」。
 29句・30句「安志家口毛・与家久母見武登」は「あしけくも・よけくも見(み)むと」と訓む。「安志家口」は、シク活用形容詞「あし(悪し)」のク語法「あしけく」を表し、「悪いこと」の意。「毛」は27句に既出で、ここは並立の係助詞「も」。「与家久」は、ク活用形容詞「よし(良し)」のク語法「よけく」を表し、「良いこと」の意。「母」は、上の「毛」と同じく並立の係助詞「も」。「見武」は、上一段活用の他動詞「みる」の未然形「見(み)」+意思・意向の助動詞「む」=「見(み)む」。「登」は格助詞「と」。
 31句・32句「大船乃・於毛比多能無尓」は「大船(おほぶね)の・おもひたのむに」と訓む。31句「大船乃」は、550番歌1句「大船之」と「の」の表記が異なるだけで同句。「大船」は文字通り「大きな船」の意。「乃」は連体助詞「の」。「大船(おほふね)の」は枕詞で、次の四通りのかかり方がある。
@ 大船のゆったりとして安定したさまから、ゆったり、落ち着いたの意の「ゆた」にかかる。
A 大船がゆらゆらと揺れるさまから、揺れ動く、動揺する意の「ゆくらゆくら」にかかる。
B 大船を頼みにするところから、「思ひ頼む」「頼む」にかかる。
C 大船の渡る渡り、大船にいる楫取(かとり)から「渡り」「楫取」と同音の地名「渡り」「香取」にかかる。また、大船の停泊する津から、「津」と同音を持つ人名「津守」にもかかる。
 ここはBの例にあたり、次の「おもひたのむ」にかかる。
「於毛比多能無」は、マ行四段活用の他動詞「おもひたのむ」(ここは連体形)を表し、「おもふ」と「たのむ」の複合動詞で、「心に頼む。頼みに思う。」ことをいう。「尓」は接続助詞「に」。
 33句・34句「於毛波奴尓・横風乃」は「おもはぬに・横風(よこしまかぜ)の」と訓む。「於毛波奴」は、ハ行四段動詞「おもふ」の未然形「おもは」に打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」が付いた「おもはぬ」を表し、「思いもよらない。思いがけない。意外な。」の意。「尓」は32句に同じで、接続助詞「に」。「横風(よこしまかぜ)」は、「横なぐりに吹く風。暴風。」をいう。「乃」は格助詞「の」。
 35句・36句「尓布敷可尓・覆来礼婆」は「にふふかに・覆(おほ)ひ来(きた)れば」と訓む。35句については、多くの写本に「尓母布敷可尓布敷可尓」とあり、古来より、難訓の箇所とされているが、ここでは「尓布敷可尓」を原文として、「にふふかに」と訓み、「にわかに」と同義で「突然に」の意に解しておく(今後も要検討)。「覆」はハ行四段活用の他動詞「おほふ」の連用形「覆(おほ)ひ」と訓む。「おほふ」は「広く行きわたらせる。全体に力を及ぼす。」ことをいう。「来礼婆」は、ラ行四段活用の自動詞「きたる」の已然形「来(きた)れ」(活用語尾を「礼」で表記)+既定条件を示す接続助詞「ば」=「来(きた)れば」。「きたる」は「人や物事がやってくる」ことをいう。
 37句以降は次回に続く。
ラベル:万葉集
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2017年12月12日

『万葉集』を訓(よ)む(その1224)

 今回は904番歌の17句からを訓む。
 17句・18句「夕星乃・由布弊尓奈礼婆」は「夕星(ゆふつづ)の・ゆふへになれば」と訓む。「夕星」は「ゆふづつ」と訓み、「宵の明星。すなわち、夕方、西の空に見える金星。」をいう。「乃」はノ(乙類)の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)で、格助詞「の」。「由」「布」「弊」は、各々、ユ音・フ音・へ(甲類)音の常用音仮名で、「由」は片仮名・平仮名の字源。「由布弊」は、「ゆふ(夕)へ(方)」を表し、夜を中心とした時間区分の表わし方で、その暗くなり始めをいい、「日が没して暗くなろうとする時刻。夜の始まる頃。」の意。「尓」はニ音の常用音仮名で、格助詞「に」。「奈」「礼」は、ナ音・レ音の常用音仮名で、共に片仮名・平仮名の字源。「奈礼」は、ラ行四段活用の自動詞「なる」の已然形「なれ」を表す。「なる」は、「その時刻や時期に達する。その時に至る。」ことをいう。「婆」はバ音の常用音仮名で、順接の確定条件を表す接続助詞「ば」。
 19句・20句「伊射祢余登・手乎多豆佐波里」は「いざねよと・手(て)をたづさはり」と訓む。「伊」「射」は、イ音・ザ音の常用音仮名で、「伊」は片仮名の字源。「伊射」で以って、「去来」(280番歌他)や「率」(652番歌他)という表記で既出の「いざ」を表す。「いざ」は、相手を誘うときや、自分と共に行動を起こそうと誘いかけるときなどに呼びかける語で「さあ。」の意。「祢」「余」は、ネ音・ヨ(乙類)音の常用音仮名で、「祢」は片仮名・平仮名の字源。「祢余」は、ナ行下二段活用の自動詞「ぬ(寝)」の命令形「ねよ」。「ぬ」は「体を横たえる。眠る。宿泊する。」ことをいう。「登」はト(乙類)音の常用音仮名で、格助詞「と」。「手」は正訓字で「手(て)」。「乎」はヲ音の常用音仮名(片仮名の字源)で、格助詞「を」。「多」「豆」「佐」「波」「里」は、各々、タ音・ヅ音・サ音・ハ音・リ音の常用音仮名で、「多」は片仮名の、「波」は平仮名の字源。「多豆佐波里」は、ラ行四段活用の他動詞「たづさはる」の連用形「たづさはり」。「たづさはる」は「(手などを)互いにとりあう。」ことをいう。
 21句・22句「父母毛・表者奈佐我利」は「父母(ちちはは)も・表(うへ)はなさがり」と訓む。「父母(ちちはは)」は、「男親と女親。両親。」。「毛」はモ音の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)で、係助詞「も」。「表」は、『名義抄』に「表 ウヘ・ウハモノソレ(ヒ)・アラハス・ホカ・マウス・タダシ」の訓があるが、ここは「表(うへ)」と訓む。「うへ」は「あるものの付近。傍。」の意。「者」は漢文の助字で、係助詞「は」に用いたもの。「奈」はナ音の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)で、ここは禁止の意を表す副詞「な」。「佐」「我」「利」は、サ音・ガ音・リ音の常用音仮名で、「利」は片仮名・平仮名の字源。「佐我利」は、ラ行四段活用の自動詞「さがる」の連用形「さがり」を表す。「さがる」は、「引き下がる。離れる。」ことをいう。「表(うへ)はなさがり」は、「傍を離れないで(傍にいてほしい)」の意。
 23句・24句「三枝之・中尓乎祢牟登」は「三枝(さきくさ)の・中(なか)にをねむと」と訓む。「三枝(さきくさ)」は、「一本の木、または草の茎から三つの枝が出ていること。また、その木や草。」をいう。「之」は漢文の助字で、連体助詞「の」。「三枝(さきくさ)の」は、枕詞として使われ、「三枝(さきくさ)」が、三本の枝を出しているというところから、その中の枝の意で、「中(なか)」にかかり、また、枝が三本というところから、「三(み)つ」にかかる。ここは次の中(なか)にかかる。「中(なか)」は「二つのものの間、また中央。」の意。「尓」は18句に同じで、格助詞「に」。「乎」は20句に既出で、ここは間投助詞「を」。「祢」は19句に既出で、ナ行下二段活用の自動詞「ぬ(寝)」の未然形の「ね」を表す。「牟」はム音の常用音仮名(片仮名の字源)で、意思・意向の助動詞「む」。「登」は19句に同じで、格助詞「と」。
 25句・26句「愛久・志我可多良倍婆」は「愛(うつく)しく・しがかたらへば」と訓む。「愛久」はウルハシクと訓むこともできるが、憶良の作に「宇都久志(ウツクシ)」(800番歌)の仮名書き例があることから「愛(うつく)しく」と訓む。「愛(うつく)しく」は、シク活用形容詞「うつくし」の連用形。活用語尾の「く」をク音の常用音仮名で片仮名・平仮名の字源である「久」で表記。「志」はシ音の常用音仮名で、中称の代名詞「し」を表し、前後の表現から「その子」の意と見られる。「我」はガ音の常用音仮名で、格助詞「が」。「可」「多」「良」「倍」は、各々、カ音・タ音・ラ音・ヘ(乙類)の常用音仮名で、「多」は片仮名の字源、「良」は片仮名・平仮名の字源。「可多良倍」は、ラ行四段活用の他動詞「かたる(語る)」の未然形「かたら」に反復・継続の助動詞「ふ」の已然形「へ」が付いた「かたらへ」を表す。「かたらふ」は、「語り続ける。繰り返し話しをする。」の意。「婆」は18句に同じで、順接の確定条件を表す接続助詞「ば」。
 27句以降は次回に続く。
ラベル:万葉集
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2017年12月07日

『万葉集』を訓(よ)む(その1223)

 今回は904番歌の6句からを訓む。
 6句・7句「和我中能・産礼出有」は「わが中(なか)の・産(うま)れ出(い)でたる」と訓む。「和」はワ音の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)で、自称の「わ」を表す。「我」はガ音の常用音仮名で、連体助詞「が」。「中(なか)」は「人と人との関係。親子、夫婦、兄弟、友人などとしての間柄。」をいい、その感情的な面を主にしていう。現在では「仲」の字を使うことが多い。ここは「夫婦の仲」の意で用いている。「能」はノ(乙類)の常用音仮名で、格助詞「の」。「産礼」は、ラ行下二段活用の「うまる」の連用形「産(うま)れ」と訓む。活用語尾「れ」をレ音の常用音仮名で片仮名・平仮名の字源である「礼」で表記したもの。「出有」は、ダ行下二段活用の「いづ」の連用形「出(い)で」+完了の助動詞「たり」の連体形「たる」=「出(い)でたる」。完了の助動詞「たり」は、接続助詞「て」とラ変の自動詞「有り」との複合であるので、「有」の表記が使われている。
 8句・9句「白玉之・吾子古日者」は「白玉(しらたま)の・吾(あ)が子(こ)古日(ふるひ)は」と訓む。「白玉(しらたま)」は「白色の美しい玉。真珠。」の意であるが、「大切に思う人、大事なわが子など」にたとえていう。「之」は3句に既出で、連体助詞「の」。「吾子」は「吾(あ)が子(こ)」。「古日(ふるひ)」は、題詞に「男子(をのこ)名(な)は古日(ふるひ)」とあった通り、男の子の名前。阿蘇『萬葉集全歌講義』に「古日を憶良の子とする説と、他人の子とする説とある。他人の子とし、その親の立場で詠んだとする説が有力である。」とある。「者」は漢文の助字で、係助詞「は」に用いたもの。
 6句〜9句について、井村『萬葉集全注』が詳しく注しているので、それをみておこう。

○我が中の生まれ出でたる白玉の吾が子古日は 我ガ中ノは、われら夫婦の仲の、の意。ノは所有をあらわし、以下三句の連体修飾句となる。これが「我が中に(この「に」に傍点)生まれ出でたる」でないところにニュアンスの相違も生じ、伊藤博氏(「一人子の死」『万葉のいのち』)は、作者が生マレ出デタルの語に重い意味を負わせているとし、「人の子としてついにこの世に生まれ出た」の意、「われら夫婦の間の、それこそ願いに願って、やっと生まれてきてくれた、白玉のようなかわいい子古日」という表現であると言っており、同感できる。同時に、子をわが所有なりと執着する愛念(手ニ持テル我ガ子)をも、その所有のノが表現しているのであろう。「子有リ財(たから)有リトテ愚ハ惟(ただ)汲汲(きふきふ)タリ」(法句経愚闇品)。白玉は真珠であろう。「貢白珠五千孔(こう)……」(魏志倭人伝)。代匠記に「杜子美寄漢中王詩、掌中探(ママ)見一珠新ト作レルモ子ノ事ヲ云ヒ、白氏文集ニモ掌珠一顆児三歳ト作リ、源氏物語桐壺ニモ、玉ノヲノコミコサヘウマレタマヒヌトカケリ」とある。愛娘を嫁がせる父親が「掌中の玉を奪われたような」など今も嘆くのであるが、その種の表現のより古い用例を芳賀紀雄氏(「掌中の愛−恋男子名古日歌−」国語と国文学昭和五八年八月)は、「不意(ゆくりなくも)双珠(さうしゆ)出於老蚌(らうばう)」(後漢、孔融(こうゆう))、「掌珠之愛子」(梁、江淹(こうえん))その他の例を示している。「吾子」は、ワガコとも訓まれるが、後に「安我古」とあるによってこれもアガコと訓む。橋本四郎氏によると、下にくる語によって、アガー子・心・恋・為・身、ワガー門・背・背子・背な・苑(その)・妻・舟・宿・故など、アガとワガの使い分けが見られると言う(注釈16・三八一一訓釈)。「古日は」のハは、後文の主格を示すというよりも、提示のハで、「古日はマア!」と、ここで切れるぐらいの気持で読む。

 10句・11句「明星之・開朝者」は「明星(あかほし)の・開(あ)くる朝(あした)は」と訓む。「明星(あかほし)」は、「明けの明星(みょうじょう)。すなわち、夜明けごろ、東の空に輝く金星。」をいう。「之」は、1句に既出で、格助詞「の」。「開」はカ行下二段活用「あく」の連体形「開(あ)くる」。「あく」は「夜が終わって朝になる。明るくなる。」ことをいう。「朝(あした)」は「夜が明けて明るくなった頃。あさ。」で、古くは、夜の終わった時をいう意識が強い。「者」は9句に同じで、係助詞「は」。
 12句・13句「敷多倍乃・登許能邊佐良受」は「敷(しき)たへの・とこ(床)の邊(へ)さら(去ら)ず」と訓む。12句は、809番歌3句などと表記は異なるが同句で、「敷(しき)たへの」と訓む。「敷(しき)たへ(栲)」は、「寝床に敷いて寝る布。一説に、織目の細かい絹布。」をいう。「乃」はノ(乙類)の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)で、連体助詞「の」。「しきたへの」は、「敷妙乃(之)」(72・135・138・195・196・220番歌)、布栲乃(217番歌)、「色妙乃」(222番歌)、「敷細之(乃)」(438・461・493・507・535・546・615・633番歌)、「布細乃(之)」(460・636番歌)など色々な表記によって既出で、敷栲が寝具の意となるところから、寝具として使われる「床」「枕」「手枕」などにかかる枕詞として用いられた。ここも次の「とこ(床)」にかかる。「登」「許」は、ト(乙類)音・コ(乙類)音の常用音仮名で、「登許」は、「とこ(床)」を表す。「能」は六句に既出、ここは連体助詞「の」。「邊」は「辺」の旧字で「へ」と訓み、「あたり。ほとり。そば。」の意。「佐」「良」「受」は、各々、サ音・ラ音・ズ音の常用音仮名で、「良」は片仮名・平仮名の字源。「佐良受」は、ラ行四段活用の自動詞「さる(去る)」の未然形「さら」+打消しの助動詞「ず」=「さら(去ら)ず」を表す。
 14句・15句「立礼杼毛・居礼杼毛」は「立(た)てれども・居(を)れども」と訓む。「立礼」は、タ行四段活用の自動詞「たつ」の連用形「立(た)ち」+ラ行変格活用の自動詞「あり」の已然形「あれ」=「立(た)ちあれ」の約まった「立(た)てれ」と訓む。「礼」はレ音の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)。「杼」はド(乙類)音の常用音仮名、「毛」はモ音の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)で、「杼毛」で以って、逆接の既定条件を示す接続助詞「ども」を表す。「居礼」は、ラ行変格活用の自動詞「をり」の已然形「居(を)れ」。「杼毛」は、14句に同じ。「立(た)てれども・居(を)れども」は、「立っていても、座っていても必ず」の意。
 16句「登母尓戯礼」は「ともに戯(たわぶれ)れ」と訓む。「登」は13句に既出のト(乙類)音の常用音仮名、「母」はモ音の、「尓」はニ音の常用音仮名。「登母尓」は、「ともに」という連語で、あるものが、他のものと同じ状態であるさま、また、他に伴って同じ行為をするさまを表わす。「いっしょに。同じように。」の意。「戯礼」は、ラ行下二段活用の自動詞「たはぶる」の連用形で「戯(たわぶれ)れ」。活用語尾の「れ」の表記に14句・15句にも既出のレ音の常用音仮名(片仮名・平仮名の字源)の「礼」を使っている。「たはぶる」は、「そのものに対して、興のおもむくままにふるまう。遊び興ずる。無心に遊ぶ。」ことをいう。
 17句以降は、次回に続く。
ラベル:万葉集
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